米FOMC、委員交代の影響は限定的
先月26〜27日に米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)でメンバーの約3分の1が交代し開催された。FOMCはバーナンキ議長など7名の連邦準備理事会(FRB)幹部(1名空席)と、5名の地区連銀総裁が政策決定の投票権を持ち、地区連銀枠は常任のニューヨーク連銀を除き11地区連銀総裁が毎年交代で務めることになっている。今回の交代では、2010年11月に決定した。追加金融緩和に消極的(タカ派)と見られる委員が増加している。そのため、6000億ドルの長期国債を購入する追加緩和策は6月に終了する見通しの可能性が高まり、その先行きを巡る議論が激しくなると思われていた。
ただFOMCの結果では、「政策金利が0.00−0.25%のレンジが維持」されたほか、「総額6000億ドルの資産買取プログラムに変更がなかった」こと、更に「金融政策の決定は全会一致」であったことが伝わり、ややドル売り優勢となった。市場では、個人消費など経済指標の改善を根拠にFRBが6月末の期限を待たずに国債の購入を打ち切るとの見方もあった。やはり新メンバーの加入期待が先行し過ぎた結果であろうか。ただ現状ではバーナンキ議長以下のFRB幹部が金融緩和に積極的で、シカゴやミネアポリス連銀総裁も前向きとの見方があり、政策に大幅な変更はないとの予想通りである。
今後の問題はFRBが6月以降に国債の購入をどうするかである。米国の経済指標の結果を確認しながら、金融政策の変化とFOMCメンバーの発言に注目して行こう。
「地区連銀メンバーの交代(ニューヨーク連銀を除く)」
- クリーブランド連銀
- ボストン連銀
- セントルイス連銀
- カンザスシティ連銀(昨年11月の追加金融緩和で唯一反対票を投じる)
- ・シカゴ連銀(追加金融緩和に賛成派)
- ・ミネアポリス連銀(追加金融緩和に賛成派)
- ・フィラデルフィア連銀(追加緩和に懐疑的)
- ・ダラス連銀(財政・規制見直しなど政府の対応が重要)
欧州のスタンスに変化
強いドルは米国の国益といった念仏は未だ継続しており、米国からの発言にはドルの価値下落を認識しているようなものは殆ど見られない。
しかし現実には2005年末よりドルは一貫して売り込まれ続けており、発言と実体の乖離が激しくなっている。
9月には米国株式の下落や住宅ローン金利について危機感を持ったFOMCにより0.5%という最近にはない利下げを行ない米株式市場は最高値を更新、金融機関のサブプライムローンに絡んでの損失も予想されたよりも今のところ少ないとの認識が先に立ったことで市場は落ち着きを見せ始めているものの、株価の上昇が却って米ドルを売り込む助けとなっている。
ユーロドルは1.42台後半までの上げと最高値を更新、ポンドドルも2.04台を回復、豪ドルは前回の高値を上抜いての0.89台を示現するなど市場の米国への楽観的な見方とは裏腹に為替市場では米ドルからの逃避と言えるようなドルを一方的に売り込む動きが続いている。
しかし今週に入り、欧州圏内からドル安ユーロ高に対する懸念を口にする政府関係者が多くなりつつあり、ユーロ高が輸出を中心とする実体経済への影響を無視できなくなりつつあるようだ。
ユーロドルは本年4月に1.36台まで上げた際には2004年の高値である1.3670を意識した発言が欧州域内政治家より相次ぎ、これ以上のユーロ高を容認できないと言った要旨が多かった。
しかし中央銀行として為替相場は市場で決定されるべきものであり、口先介入を含めて具体的な行動に疑問を持っていたことから4月の段階でユーロ高懸念はあったものの、結局は発言もトーンダウンしており、またその後の自立的な調整局面を迎えたことで欧州からのユーロ高懸念は影を潜めていた。
もっともフランスのみは常にユーロ高が国内経済の打撃を与えるとの認識と発言を続けており、市場に介入しないことを基本とするドイツと一線を画していた。
但し、ここに来てサブプライムローンによる信用不安が欧州勢を傷めていることもあり、景気浮揚策としてのユーロ高懸念が欧州圏政治家から再出し始めている。
また、通貨価値は市場が決定すると言うスタンスを動かしていないドイツについてもここに来てユーロ高になんらかの手を打つべきとの認識が広まりつつあることが漏れ聞こえてくる。
実際には10/18にワシントンにて予定されているG7においてユーロ高懸念を討議する方向で欧州圏内は動き始めているようで、来週月曜日には欧州圏財務相、中央銀行総裁会議が開かれここでユーロのレベルについて討議が開始される予定となっている。
今年4月時点でもユーロ高を懸念する声が相当高まっており、市場では介入を行なうのではないかとも思惑もあったが、結局ユーロ高懸念をG7あるいはECBからの正式な声明として取り上げることは出来なかった。
今回も政治家からの声が多く今のところユーロ高懸念をG7で正式に討議することは難しい可能性も高いが、欧州圏内の金融機関の信用収縮という不安材料もあることもあり、今回は以前と比べて実際にユーロ高懸念が欧州域内で共有、声明として盛り込むことが出来る可能性が出始めている。
もっともG7となるとまた別の話ではあるが、米国や日本からの反対も出にくい状況と思われ、欧州圏財務相会談での決定がG7にそのまま反映する可能性はかなり高いのではないか。
もしここでユーロ高懸念を声明として盛り込むことが出来れば介入は難しいとしてもユーロロングのポジションが溜まっているだけに素直にユーロ下落につながる可能性は高いように見える。
今週末も含めてG7まではユーロ買いには十分注意するべきだろう。